最近読んだ本の中で、得るものがとても多かったのがオリバー・バークマンの『限りある時間の使い方』。

目標を立てて達成することばかり考える人生は息切れしてしまいます。そして、今を生きている感覚が得られません。「目標が達成されてから、本当の人生が始まる」と思い込んで仮の人生を過ごしているうちに老いて死んでいくのです。

哲学者のキーラン・セティヤが提唱するのは「非目標性の活動」を提唱しています。何かを達成するためではなく、ただ歩きたいから歩く散歩。あるいは、好きな曲を聴いたり、友達と会って話をするなど。キーラン自身が40歳を目前にして中年の危機に襲われ、それまでの人生があまりに目標志向で、活動そのものを楽しんだことがないと思い至ったそうです。

 

いい大人が趣味にのめりこんでいるのは、ちょっと恥ずかしいと思いがちですが、本当の充実感を得るためには、世間の評価なんて気にしないほうがいいのです。

オリバー・バークマンが例として出しているのが、ロッド・スチュワートの鉄道模型。

彼の趣味がすばらしいのは、それがロックミュージシャンのイメージとかけ離れているからだ。たとえばヴァージン・グループのリチャード・ブランソンはカイトサーフィン好きとして知られるが、それだとブランドのイメージアップを狙っている感じがする。

それに対して「アイム・セクシー」と歌うロック歌手が鉄道模型を趣味にしているのは、純粋に好きという以外の理由がどこにも見当たらない。

この30年、私の趣味はダンスでした。週に5日は踊っています。ダンサーやインストラクターを目指しているわけでもないし、仕事の役にも立ちません。純粋に好きだからこそ、心と体の安定に大いに役立ってきました。

うれしいことに、ライターの仕事を卒業して占いも趣味へと移行しつつあります。もう「これは週刊誌の連載コラムのネタになる」なんて思わず、おもしろいことを追求します。

ウラナイ8にはさまざまなタイプの占い愛好家が集っていて、収入を得ることを目標にしている人もいれば、趣味として楽しみたいという人もいます。占いなんてあやしくていい加減なイメージがあり、世間にはあまり大っぴらにできない恥ずかしい趣味かもしれません。それでも学び続けるのは、純粋に好きだから。そして占いというキーワードで、同好の士と交流できるのも楽しいもの。

手相やタロットができれば、高齢者施設に入っても若い人からちょっとした占いを求められるかもしれません。認知症が進行してとんちんかんなところが、かえって当たると評判になったりして。

老いていくのは悲しいことである反面、もう目的を持たなくていいという解放感に近づいていくプロセスです。

7週間もかけてスペイン巡礼をするのに、サンティアゴ・デ・コンポステーラに到達しなくてもいいと話すと、びっくりされることがあります。スペインの道をただ歩きたいから歩くだけで、ゴールだけを目指して歩くのではないのです。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事