易経は古めかしいようでいて、現代に通じる知恵もたくさん書かれています。

たとえば水地比(すいちひ)という卦。上が水で下が大地ですから、水が地に染みわたっていくように人と人が親しみ助け合う姿を示します。占い師のもとに持ち込まれる悩みのほとんどは恋愛を含めた人間関係ですから、水地比の卦辞、爻辞は大いに参考になります。

たとえば、卦辞の「後夫(こうふ)は凶」。この場合の夫は一人前の立派な男性という意味。ぐずぐずと迷って遅れて来たのでは、どんなに立派な人でも親しめないという戒めです。人間関係はタイミングに大きく左右されます。

また、伊川易伝は「誠意をもって才能の限りを尽くして仕えようとしても、採用してくれるかどうかは君主次第。人間関係でも、自分に親しんでくれるかどうかは相手側の決心だから、一方的に関係を求めるべきではない」という解説があります。いくら好きでも無理なものは無理。粘着すればストーカー扱いされるだけです。

そして、五爻には「三駆(さんく)」という言葉が出てきます。王者の狩は四方から獲物を追うのではなく、逃げ道を残して三方から駆り立てるので「三駆」と呼ばれます。去る者は追わず、来る者は拒まずという人間関係の教えです。四方すべてを塞いで獲物を総取りしようとするのは、徳が低い人の狩です。

「2024年を東西占術で読む」でも最後のほうで「万人受けを狙うな」「みんなに好かれる必要はない」といったアドバイスがでてきましたが、まさに「三駆」です。

今年から株式投資を始めたいという人もいるでしょうが、すべての銘柄で利益を出すのはプロの投資家でも無理です。四つ銘柄を買って一つは下がっても三つが上がれば大成功。100%に換算すると75%。私が卒業した大学では80点以上が優、70点以上が良、60点以上が可でした。優には手が届かなかったけれど、とりあえず単位が取れたならそれでいい。優を目指さず良ぐらいがちょうどいい人生なのかもしれません。

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