ある男が毎日、熱心に神に祈っていました。

「神様、お願いです。宝くじが当たってお金持ちになれますように」

あまりにも熱心に祈り続けるので、とうとう神が男のもとに降臨しました。

「祈りはもうよい。頼むから、宝くじを買ってくれ」

なんと、男は宝くじを買ってもいないのに当たって大金を手にしたいと強く願っていたのです。

このジョークはアメリカ人のスピリチュアリストから聞きました。「引き寄せの法則を何でも強く願っていれば夢がかなうと解釈している人が多いけれど、何も行動を起こさなくても結果が出ることなんてない」という解説がありました。

 

この話を思い出したのは、「新NISAも始まるし新年から株を始める」という人がいたから。今のところ年明けから日本株はかなり好調ですから、滑り出しはさぞかし上々だろうと思ったのですが、なんとネット証券にまだ口座が開けてなかったのです。マイナンバーの提出でつまづき、コールセンターに電話したけれど延々と待たされてつながらず、そうこうしているうちに年が明けて株式市場が始まり、日本株は高騰し円安も進んだのでアメリカ株も割高になっています。

株式市場の予測は誰もできませんから、株が暴落して「証券口座が作れなくてラッキーだった」と胸をなでおろすことだってありえますが、そもそもこの人は株式投資に向いていないのだと思います。本当にやる気があるのなら、一つの会社でうまくいかなければ他のネット証券を試せばいいし、こんな初歩的なところで先に進めない人がネット上で正しく株の取引ができるのかどうか疑問です。あるいは、投資をするのが当たり前という世間の風潮に流されているだけで本心では元本保証のない株式市場への根強い恐れがあるのかもしれません。株を買いさえしなければ損することもありませんから。

 

「お金持ちになりたい」「幸せな結婚をしたい」「社会的なステータスが欲しい」など、人それぞれ夢があるでしょうが、念じているだけで実現するほど世の中は甘くありません。

同窓会で会った元同級生が、私がライターをやっていると知り「私も書くのが好き。作家になりたい」というので「何か書いたの?」と聞くと「今は子育てで忙しいから書いていない」とのこと。「じゃあ、いずれ時間ができたらがんばって」とぬるく答えておきましたが、夢見ているだけで一生を終える人はけっこう多いのではないでしょうか。

まだスタートラインにすら立っていないのなら、その夢は本当にあなたが望んでいることではないのかもしれません。どうしても実現させたいことなら、まずはスタートラインへ。話はそれからです。

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