命術、卜(ぼく)術、相術すべてができるのが占い師として望ましいとされていますが、どれか一つだけとなると大半の占い師は卜術を選ぶのでは。対面鑑定の場合はなおさらです。占いは再現性がなく、問いを出した瞬間に答えがもたらされてくるものだから。

『周易裏街道』の著者、仁田丸久氏も「命術は複雑だから使いこなせない」と書いています。出生時が同じだとしても、どんな国や家庭に生まれ、どんな人と出会うかで人生は大きく異なってきますから、そうした外部の影響を加味するのがとても大変です。

その点、易は「この成り行きはどうなりますか」「この問題に対して私はどうすればいいですか」と占的をはっきりさせてから卦を立てますから、答えがもたらされます。

ただし条件があります。易神の臨在を信じなければいけません。

易経を見ているときは、その目の前に伏羲、神農、其他の人がいるものと思えばよい。そしてその人たちに問いかけてみるのです。ここのところはどうでしょうか、と気狂いになって話しかけてみる。そういう仕方でやるうちにほんとにそこに伏羲がきて教えてくれる。

「天下の奇書」と称されるだけあって、易者だけでなく商売人、ノイローゼ患者にまで話を広げています。

成功した商人は、商売で行き詰ったらロックフェラーのような大商人が目の前にいるかのように「あんんたならどうしますかな」と話しかけると、本当にその人から答えを得たようなよい考えが湧いてくるし、元気も出てくるそうです。

そして、進駐軍からもらった本に出ていた、ノイローゼ患者を治した牧師の話。

「ちょっと変わった処方箋だから、あなたが実行するか疑問だ」と牧師。「私はなんでもやる」というので、こんな指示を出しました。

これから食事のときは椅子をもう一つ用意しなさい。そしてそこへキリストが来られたと考えなさい。あなたが席につく前に、まずキリストさんに「どうかお先に」とやってから坐りなさい。どこにでもキリストさんと一緒にいると考えて、何でも聞きなさい。

患者がこの通り実行したところ、3週間で完治。続けているうちに手応えを感じるようになりキリストが「こうせよ、ああせよ」と教えてくれるようになったそうです。

 

「偶然出た3つの数字から出される卦と爻で何がわかる」と問われたら、「易神のメッセージが数字を通してもたらされた」と答えます。易神を信じそうにない人から「私の運命を当ててみろ」と迫られたら「単なる占いですから」とお断りします。そして、王族や政治家、芸能人から依頼を受けたわけでもないのに勝手に占うのも、あまり当たらないと思います。そこに易神は臨在しないからです。

 

タロットやインナーチャイルドカードも卜術ですから、占いの神様は存在します。

月に一度、献血ルームでボランティア占い師としてタロットカードで占っています。占いにあまりなじみのない人を短時間で占うのでウェイト=スミス版を使用。この人ならわかってくれそうというタイプに「どうしてわかるんですか…」と聞かれると、こんなふうに答えています。

「神様、あるいは天、守護霊、ご先祖様、どう呼ぶかはその人次第ですが、そういう存在があなたに伝えたいメッセージがあります。普通の人は霊感がないので、媒介が必要です。遠くの人と話すのにモールス信号を使うようなもの。それがタロットカードです。電話のように声をそのまま伝えることができないので、カードを読み取るとめののちょっとした知識が必要ですが」

月に一度の献血ボランティアですが、電波が通じるかどうか、アンテナとしての感度を確かめる絶好の機会です。勝手占いと同じく、無料占いも当たりにくいし危険な面がありますが、献血という対価を払っているので、そのあたりは占いの神様も大目に見てくれるはずです。

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