たまに「占いではなく株式投資を教えてほしい」と言われることがあります。

一昔前までは、株なんてギャンブルみたいなものでまともな人間は額に汗して働くものだという感覚が一般的でしたが、いまや年金だけでは老後の生活設計は心もとなく、政府が投資を後押しする時代です。

「損はしたくない、絶対に儲かる投資法を教えてほしい」と言われても、そんな金融商品があるなら私のほうが知りたいぐらいです。

また「すごい投資法を知っている先生から教わっている」と得意そうにいう人にも複数合いました。そんなにすごい投資法なら、どうして人に教えるのでしょう? 自分のお金をどんどん増やせばいいのに。

投資は教えてもらうものでなく、試行錯誤しながら自分の方法を見つけるしかありません。私がたまたまうまくいったのは、運がよかったから。それに、明日にでも株式市場が暴落するかもしれません。最近でも、コロナとウクライナ侵攻の時期は大きく下げました。こういう時期にホールドできる胆力は誰かに教わるものではありません。

 

お金のことなら割と冷静に語れるのですが、スピリチュアル系になるとたちまち頭が弱くなります。人生を変えるような開運法があるなら知りたいと願っていたから、占いにも興味を持ったわけだし。

スペイン巡礼を知ったきっかけもパウロ・コエーリョの『星の巡礼』だし、シャーリー・マクレーンのカミーノ体験本も読みました。奇跡の剣を手に入れたり、アトランティスやレムリアの前世を見るような神秘体験ができると期待しているわけではありませんが、コロナで海外に行けない時期に巡礼を思い立ったこともあり、思い入れはふくらむ一方です。

しかし、いざ航空券を買って、具体的な情報を集めるようになると、巡礼といってもバックパッカーの旅とそう変わらないことがわかってきました。コロナの前は意識の高い若者が世界一周旅行に出かけて見聞を広めようとしましたが、中高年になって若者のような旅ができるのがスペイン巡礼です。

人生を変えるようなすごい体験はできなくても、世界中からやってくる同世代の巡礼者と「お互い長く生きて来ていろいろあったね」とスペインワインでも飲みながら語り合えたらそれでよしとしましょう。

現実の世界には、うまい話はそう転がっていないのです。

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