コロナでまた旅に行けなくなるかもしれないと思い、先週はJALの「どこかにマイル」で高知へ。60以上の店が集まった屋台村のようなひろめ市場で朝からビール。その前の週は、伊豆のやすらぎの里で夜明けとともに目覚め、ヨガの太陽礼拝を行っていたというのに。
さすが酒豪の県の高知、平日の朝でも思い思いにアルコールを楽しむ地元の人たち。「たっすいがは、いかん!」という高地限定のキリンビールのポスターがあちこちに貼られています。「たっすいが」は薄いとか弱いという意味で、ガツンとくるラガービールのキャッチフレーズに使われているのですが、中途半端をきらう高知県人の潔さを感じます。
伊豆ではとことん健康に過ごし、高知では飲んべに付き合う。まるでジェットコースターみたいだと連想したところで、古いアメリカ映画を思い出しました。
『バッグマン家の人々』(1989年)。さまざまな問題を抱えた一族が登場するのですが、主演がコメディアンのスティーヴ・マーティンなのでユーモアたっぷりに仕上がっています。
すでに手のかかる子供がいるのに妊娠してしまい、悩む妻。一族のグランマがこう問いかけます。
「ジェットコースターとメリーゴーラウンドと、どっちが好き?」
認知症ぎみでとんちんかんなことばかり言うので、子供や孫は適当に聞き流しているのですが、一族に嫁いできた妻は思うところあり、真剣に耳を傾けます。
「娘時代の友達はメリーゴーラウンドが好きだと言うんだけど、同じところをぐるぐる回るだけで何が楽しいの? 私は断然、ジェットコースター」とグランマ。
この台詞に啓示を受け、妻は新たな子供を持つことを決意します。そして私は5年ほど勤めた会社を辞めてアイルランドに行くことにしました。
ジェットコースター派かメリーゴーラウンド派かで大きく人間のタイプを分けることができます。地道にとか安全策を取ろうとしても、どうしてもおもしろいほう、新しいものに心惹かれる私は断然ジェットコースター派。もう矯正するのはあきらめました。自分がどちらのタイプに近いかをわきまえておくだけでも、人生の迷いは少なくなります。
そして、高知といえば人相の天道春樹先生。10数年前、占い雑誌の連載企画で毎月のように会っていました。
前回、2017年2月もJALの「どこかにマイル」で高知が当たり、その前の年から始めた日本語教師の成り行きを占っていただき、出たのが水雷屯(すいらんちゅん)の五爻。まさに厳しい冬に芽を出そうとする悪戦苦闘の日々でした。
今回は差し迫った占的もなく、とりあえず投資運の成行を聞くことに。今年はアップダウンが激しすぎましたから。
天道先生の人相は「気色(きしょく)」を見ます。私の額から鼻にかけてをぱっと見ただけで「気色よし! 心配なし」と断言。
「昔から金運だけは良さそうでしたな」と追加で天道先生。そうでした、取材でお会いするたび「お金の巡りがいい」といつも褒められていました。出版不況にかかわらず、原稿依頼がひっきりなしだったのでそのことを指しているのだろうと思っていましたが、当時から相場師の適性も芽生えていたのか。
コツコツ貯金することは苦手でも、時代の波を感じて、えいやっと投資するのが好き。まさにジェットコースターしか楽しめない体質なんだとつくづく感じた高知の旅でした。