ウラナイ8のメンバーは7人なのに、あえて8をネーミングに入れたのは外に開かれたゆるい関係を目指したから。秘密結社のような閉じた関係は結成した瞬間は高揚しますが、やがて閉塞感に襲われます。

蓄財のヒントを与えてくれた橘玲の著書には興味深いことがあれこれ書かれています。

たとえば、学生時代のマクドナルドのバイト。での11時から翌朝6時まで清掃兼夜警。学生時代のバイトは、教室で講座を受けるより、社会の仕組みが理解できます。橘玲はマクドナルドで仕事の二極化を身をもって感じたことでしょう。

仕組みに従って働くだけのマックジョブはアルバイトで回せますが、仕組みを作り管理する仕事は選ばれた人しかできません。マクドナルドでは店長の上に、担当地域の店を総括するスーパーバイザーという役職があり、かなりの高給取りだそうです。橘玲が働いていた店を担当しているのは社内最年少のスーパーバイザーですが、真っ赤なフェアレディZにのり、自宅は青山の豪華マンション。

大学4年なのに就職戦線に出遅れ、ウエイターでもやろうと気ままに考えていた橘玲にスーパーバイザーが「君、うちに来る気はない 特別に推薦してあげるよ」と声をかけます。マクドナルドは当時も外食産業の花形で、社員はエリート中のエリートだった、それ以前に今年の採用はすでに終わっているはずでした。

「そんなのなんとでもなるんだよ。君みたいな世間知らずが案外伸びるんだ」とスーパーバイザー。

橘玲はありがたい申し出を断り、編集プロダクションに潜り込んで作家となりましたが「強い絆より弱い絆」ちという教訓を得ました。

アメリカでは知り合いを通じて仕事を見つけたという人が多い。そして知り合いの実態は「ときどき合う」「滅多に会わない」が大半で頻繁に会う親しい友人は17%に過ぎなかった。血縁者など強い絆の人を紹介するのは、極めて政治的な行為で重い責任が伴う。

弱い絆なら、たまたま知っている人を繋ぐだけだから、失敗しても責任を問われない。もしその人間が役に立てば感謝されて貸しを作る事ができる。

スーパーバイザーが夜間アルバイトを本社の人事部に紹介しようと思ったのは、親戚でも知人の子供でもない赤の他人だったからだ。なんの関係もない人間が役に立たなくても道端で拾った石ころの責任を取れという人はいない。万一優秀な社員になったら「やっぱり見る目がある」ということになる。

私が就職活動をした30年以上前の日本では、四年制大学卒業の女子の就職は絶望的で、コネが絶対的でした。そうしたコネで入れてもらうと、下手なやめ方はできませんでした。

親ガチャに外れると日本社会で生き抜くのはかなりのハードモードですが、ゆるい関係をつなぐことで活路がみつかるかもしれません。今の仕事がどんなにつまらなくても、目の前に与えられたことを誠実にこなしていれば、声がかかることだってあります。強い関係だけで決まる社会は息苦しいものです。

 

おまけ。これも橘玲の本で得たエピソード。

強い関係でぎちぎちに占められているアラブ人社会。パレスチナからオーストラリアに移住したアラブ人は、手っ取り早く稼げる修理工として働くのですが、天敵だったユダヤ人を好むようになります。なぜならアラブ人は同胞であるのをいいことに無理な納期や値下げを要求してくるから。ユダヤ人は適正な納期と料金を了承します。

強い関係だけで構成されている社会は息苦しくて、新しい関係も広がらない。ウラナイ8関係者は、ゆるいつながりで、開放的で潤う関係を作っていきましょう。

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