九星気学の講座で「講座修了者からの質問で一番多いのは、占い理論ではない。運の悪いお客さんを鑑定して自分も運が悪くなってしまった時の対処法」と聞きました。業界用語で「かぶる」というそうです。九星気学は、鑑定より開運に軸足を置いた占いなので、こうした話がよく出てきます。

占いの対価をもらっても、凶をかぶってしまっては結局マイナスです。それでも人を占うことがないと勘が鈍ってしまう。というわけで、金銭がからまず、健康で親切な人しか来ない献血会場で占いのボランティアをしています。

 

しかし、先日ついにかぶってしまいました。

やけに自分は運がいいと強調する人でした。

「トウシの先生も始めることにしたんです」

「は? どちらのトウシ? 透視それとも投資?」

(これだから占い師は…という表情)「株式の投資です!」

「あの、投資は別に人に教えてもらうものじゃないでしょう。株式も為替も相場の先を読める人はいないし、絶対に儲かるルールなんてない。証券会社に口座を開いたら後は自己責任で銘柄を選んで買うだけ。そもそも向いていない人もいるし」

…といった会話をしたのですが、相談者は聞く耳を持ちません。

手相を観たら、生命線の下半分が薄い。運気の足場が定まっていない状態です。

「投資の先生になること」を占的にしてタロットカードを引いてもらったら「死神」でした。

しかし、占い師が何を言おうと自信は揺るぎません。

「私も投資しているけれど…」と、まったくの素人ではないことを伝えたのですが、今後のニューヨーク市場の動きについて伝授しようとします! 「誰に向かって言ってるのか、わかってる?」という台詞が喉元まで出かかったのは、三井住友銀行で投資信託を勧められたとき以来です。

師匠がいると聞き、ますます疑念がふくらみました。なにか危ういことに巻き込まれていなければいいのですけれど。相場のシークレット情報を餌に情報弱者からお金を巻き上げるとわかってやっているのならまだわかりますが、「私は幸運に恵まれ、すばらしい師匠に巡り合って相場の秘密を伝授された。これを教えて私のような幸運な人を増やしたい」と本気で信じているようですした。

ボランティアの占いで、たまたま出会った人を心配する義理はないのですが、テーマがテーマだけにひっかかりました。すっかり疲れ果てて駅に向かえば、JR中央線と総武線が止まり、ホームにあふれる人々。満員の丸の内線に揺られながら、これは「かぶった」かもしれない、しばらくは相場を休もうと思いました。

 

昔のノートをひっぱり出してかぶった時の対処法を読み返しました。

入浴と手洗い。日本酒や塩を入れるといい説も。厄を水で流すというイメージで。

銭切り。収入の一部を「災いと一緒に持って行ってください」と寄付。

幸い今月は佐賀の温泉に行くし、誕生日には毎年、寄付を行うことにしています。これでかぶった厄が去ってくれるといいのですが。

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