みんな大好きネットフリックスの『クィア・アイ』から学ぶ開運術。

シーズン5の第6話『DJの人生リミックス』に登場するのは38歳のイタリア系男性のライアン。父親が興した不動産会社で働きながら、休日はDJとして活躍しています。立派な家も持っていて実家との関係も良好で甥や姪と楽しく遊んでいます。充実した人生のように見えますが、心は不安定。

ライアンには兄弟がいて、いずれも結婚して子供がいます。友達もそう。イタリア人は日本人と同じく血縁を重視しますから、家族の中で自分だけ独身なのは居心地が悪いのでしょう。

「家族を持っている兄弟や友人がうらやましくなる」というライアンにカラモはこう言います。

comparison can kill you
比較は君を殺す

アメリカは個人主義で、人はどうあれ自分は自分なんだろうなと想像していましたが、そうでもないようです。家族を重視するイタリア系なら日本人と似た感覚なのかもしれません。

 

そして、シーズン4の第5話『たそがれのケニー』。

ライアンはイタリア系だったのに対し、ケニーはクロアチア系。こちらも血縁を大切にする民族らしく、ケニーを番組に推薦したのは姪たちです。ケニーは64歳の独身男性で、きょうだいのなかで結婚しなかったのは自分だけ。育った家を出ることなく、両親を看取ったあともそのまま実家で暮らしています。クロアチア系が集まるクラブの世話人をして、多くの人に慕われているのですが、自分は人生で何も達成していないと深い劣等感を抱いていました。

カラモが質問します。

Do you, in your mind, feel like your sisters and brothers have what you're supposed to have? Do you feel like they've achieved more?
きょうだいたちが、自分が持つべきだったものを持っていると思う? 彼らが自分より成功していると感じる?

ケニーの長い答え。

Oh, yes, by all means. They... kind of...went off with their lives and then just took off. You know? And I just stayed at one pattern all of my life. And I guess I've just been stuck.

そう、確かに。彼らはここを出て自分の人生を生きているような感じ。だけど僕はここにとどまって、ずっと同じことの繰り返し。閉じ込められているようだ。気にならなかったし、お互い愛している

It's never really bothered me, we've always loved each other, we still do to this day.
I just always compared myself and... and think back... well, I...I'm a failure. You know, I look at... what other people's accomplished and what I have, you know, and...
でも比較すると…。自分は劣っている。他の人が達成したことに比べたらそう思う。

カラモはこう諭します。

But you're not a failure. It's not the truth at all. Because if we go down the list everyone we've talked to have said how great you are, you're stable, you're loving, you took care of your parents.
Don't compare yourself to them anymore. You're not a failure.

それは違う。僕らが話した人は誰もがあなたを讃えていた。安定していて優しくて、親の面倒を見たと。

比べる必要はない。劣ってないから。誰にも劣らない。

 

同性愛者が認められつつあるとはいえ、ファブ5はこれまで疎外感を抱きながら生きてきたことでしょう。両親と絶縁しているメンバーもいます。そんな彼らだからこそ、「結婚もせず子供もいない自分は人より劣っている」という考えを打ち消すことができるのです。

私はずっと両親の出身地である田舎が嫌だったのは、悪魔のように口の悪いおばさんがいて、私のことを子供の一人も産めないできそこないだと罵倒し、従姉妹たちと比較するからです。田舎がきついのは、比較の軸が限られていて、一生ついて回ること。悪魔のおばさんも亡くなり、東京で自由に暮らしながら『クィア・アイ』のシリーズも観て、心安らかに暮らせるようになりました。

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