週刊誌に開運記事を連載していた頃、書くことが思いつかなくなると自己啓発本をよく手に取っていました。テーマは東洋占術ですから無関係のように思えますが、ネタの宝庫です。

最近の自己啓発本では、エリック・バーガーの『残酷過ぎる成功法則』。先週のデイリーメッセージで紹介した「大半の子どもはタンポポだが少数は蘭である」というスウェーデンのことわざもこの本で知りました。

原題は"BARKING UP THE WRONG TREE"で、日本語版の『残酷すぎる成功法則』は狙い過ぎで今一つのような気がします。

直訳すると「まちがった木に向かって吠える」。猟犬が獲物を木の上に追い込んで吠えているけれど、その木にはもう獲物はいないという意味です。人間も「これで開運するはず」と必死にがんばっても、方法がまちがっていれば結果は出ません。凄腕の占い師に盲目的に従っていれば開運するだろうと信じ込んだり、高額な開運グッズやセミナーに次々と手を出すのも、まちがった木に向かって吠えるようなものです。

 

それでも、占いが役に立つことがあります。

この本に紹介されているマイケル・フェルペスの例。

身長193センチで脚が短くて胴が長く、巨大な両手両足。両手を広げると2メートルもあります。この特異な体型が水泳にはぴったりなのです。

もしフェルペスが陸上競技を目指したら結果は悲惨だったでしょう。たとえばモロッコの陸上競技選手で1500メートルと2000メートルの世界記録を保持していたヒシャム・エルゲージは身長175センチ。フェルペスと慎重さが18センチありますが、股下の長さは同じ。そしてフェルペスの体重は88キロなのに対して、エルゲージは62キロ。水の中とは異なり、地上では重い体で走るのは一苦労です。

反対にエルゲージが水泳選手を目指しても成功しなかったでしょう。男子の金メダル競泳選手の平均身長は190cmを越えています。

身長や体型、体重なら一目瞭然ですから、どのスポーツに向いているかすぐわかります。しかし、職業や配偶者選びでは、しばしば「まちがった木に向かって吠える」ことがよく起こるのです。

 

どんな仕事や結婚のスタイルが向いているかは、四柱推命や算命学である程度知ることができます。四柱推命の講座に通っていたとき、自分の命式を出して占い師だったらどういうアドバイスをするかという練習がありました。当時の私は40代半ばでライター業も結婚生活も20年近く続けていました。

「夫を意味する官の星がないから、結婚はむずかしい。どうしても結婚したいのなら、流運か流年で官の星が巡ってくるタイミングを狙え。財の星が多すぎるから、専業主婦では我慢できない。自分で稼ぐ道を確保すべし」

どんな業種がいいかは、時代の流れがあるので占いでアドバイスするのはちょっとむずかしいと思います。私が選んだ雑誌のライターは、活字媒体の衰退により今では食べられない仕事となっています。占いでは産業構造の変化まで予測できませんが、組織を回す役割なのか、一匹狼がいいのかといったスタイルはアドバイスできます。

 

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事