東洋占術の講座はあれこれ受けましたが、ロジック解説の合間にはさまれる開運術に興味津々でした。

たとえば、財運に凶が巡ってくる時期の対処法。いかに大富豪であっても、一生を通して好調な財運を持続できる人はいません。必ず財が壊れる年がやってきます。暦の巡りからそのタイミングを知ったら、慈善団体などに寄付をするのです。どうせ財が壊れるなら、自分から壊しておけばそれ以上のダメージは出ないというわけです。

ただし、寄付したことを公にしては効果が半減します。「いいことをした」「立派だ」という賞賛が財を壊した代償となってしまうから。人の目に触れる「陽徳」より隠れて徳を積む「陰徳」のほうが価値があるので、本物の大富豪は匿名で寄付をするそうです。

マタイ伝の「左手に告げるなかれ」を思い出しました。

施しをする時、トランペットの華やかな音で触れ回ってはいけない。それは偽善者が人々から賞賛を得るために礼拝堂や通りで施しをするのと同じである。

私はあなた方に告げる。彼らはすでに報いを受けている。あなたが施しをする時に、右手がしていることを左手に告げてはいけない。善行は秘密にしなければならない。そうすればひそかに何が行われているか見ておられる神はあなたに報いるであろう。

聖書のこの一節を目にしたとき、かなりの難易度だと思いました。自分が生きるだけで精一杯の苦しい時期は他者に施すことができません。そしてゆとりができても、万一のために貯めておきたいもの。寄付をするなら、「いい人だ」と見られたい。

しかし、自分の財運のためなら匿名の寄付もする価値がありますし、そこまで器が大きくないのなら、陽徳でもいいじゃないですか。陰徳より劣るものの陽徳の効果もゼロではありません。

数々の福祉活動に私財を投じてきた杉良太郎が「売名ですか」と聞かれて「はい、偽善で売名です」と平然と答えたエピソードは有名ですが、自分は一銭も出さずにそういう質問をする人間こそ、恥を知るべきです。

だから私も寄付をするのは自分の運を守るためと割り切っています。寄付ができるほど稼げた年はほっとするし、次の年はもっと稼ぎたいと思います。

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